2016年8月10日水曜日

「   」(演劇)

飴屋法水さんの新作。
本谷有希子さんという、芥川賞を最近取られた作家さんとの共作。

本谷さんの子供に対する思い…一部自意識強めな表現に、これ大丈夫かしらと持っていたら、後半怒涛の飴屋さんのターンで最高のカタルシス!
と書いていて思ったけど、これ「シン・ゴジラ」と同じ構図じゃないか!違うか!
表層的で詩的な表現(と自分には感じられた)VS白痴を装った風にまでとれる言葉の暴力!最高!

今回の飴屋さんはぼそぼそ喋るんじゃなくてひたすら大声で喋り散らしていたことや、ドイツ人の喋り方などで、とてもメルヘンで寓話的に感じられた。
言葉を埋める行為もしかり。
あと我が子の命を外人に預ける演出は素晴らしかった。
映画じゃなかなか難しいな。

言っても本谷さんの本は読んだことないし、飴屋さんの舞台はまだ3回目なので、二人の作風を分かりきっていない部分はある。
自分は飴屋さんの作品では「ブルーシート」が一番良かった。

パンフレット(一枚のA4の紙)に本谷さんは”言い出しっぺ”と併記されていた。
これがとてもヒントになっているのかもしれない。

2016年8月4日木曜日

「シン・ゴジラ」

劇場:TOHOシネマズ新宿

巷ではエヴァだエヴァじゃないんだ論争が巻き起こっているようですが、こんなもんどう考えてもエヴァだろ。
監督が同じ時点で因果関係が無いものになるはずがない。特に作家性の強い監督なら尚更。

映画の内容は完全にシミュレーションだった。
「現代の日本にゴジラが現れるとどうなるのか」というシミュレーション。実際に自衛隊と政府にかなり取材したらしいので、(全て事実かは知らんけど)違和感なく楽しめる。
あとみんなひたすら喋る。「ソーシャルネットワーク」と同じく、倍近くあるシナリオを早口にして二時間に収めたらしい。
詳細は頭に入ってこないが、それっぽさ(明朝体とあの音楽と説明くさい台詞のあれ)は抜群にあるので、とてもいい味付けになっている。

素晴らしかったのは、中盤の夜の戦い。
あんだけガッチガチに日本政府の対ゴジラへの作戦基盤を描いといて、一瞬で総理大臣もろとも粉砕してしまうあの演出の凄さ!
しかもこれって火の七日間やん!
庵野監督は、宮崎駿という巨神兵の呪縛から逃れられないのか …。

と、しょぼいCGでうねうね動く進化前ゴジラとか、背中からレーザーを出すゴジラとか、どんな自由な庵野版ゴジラも驚きと尊敬と一部暖かな目で楽しめたのですが、最後の尻尾のカット…あれはあかん!あれはあかんでー!!

2016年8月3日水曜日

「イディオッツ」

トリアー「黄金の心三部作」の二作目と同時にドグマ95の二作目でもある。

障害者のふりをして人々を弄ぶ集団の物語。
面白かったんだけど、考えるのを放棄して鑑賞していたため、「奇跡の海」「ダンサー・イン・ザ・ダーク」ほど楽しめなかった。
次はもうちょっと考えながら観たい。