2015年11月16日月曜日

「ブルーシート」(演劇)

前回書いた「コルバトントリ」の演出家、飴屋法水氏の演出による震災で生き残ったいわき市の高校生たちの演劇。
あれから数年経ち彼らも大人になっていたが、当時のままのキャストで。

数年前、ある若手現代美術家の方と、「震災」というテーマについて議論したことがある。
彼は「震災前の表現」と、「震災後の表現」は必ずしも何かが違っている、という意見だったのですが、自分にとって震災はそこまで大きいものではなく、そこが論争の的だった。
今回の「ブルーシート」は正にその「震災」がテーマ。
自分はその意見を変えるつもりはないし、今回の観劇にあたってそのテーマを半ば無視して観た。
ただそのドキュメンタリー要素はあるので、その点はふまえつつ。
(2013年、いわき市で行われた初演だったらもっと重点を置いていただろうが、今回は数年経ち、池袋の廃校での公演だったのでその観方も許されると思う。)

恐ろしい演出力を目の当たりにした。
最初の点呼の演出から鳥肌が止まらなかった。
これは正直、同系列に並べるのはどうかと思うが、「崖の上のポニョ」を観たときの感覚に近かった。
天才と呼びたくなる演出によって、なにか底知れぬものに感性が触れてしまう感じ。
そんなものをオープニングで見せつけられ、演劇の力を思い知らされた。
最後のあの叫びも勿論素晴らしかったけど、オープニングの静かな恐怖のほうが数倍力があったように思う。

書きたいことはまだありますが、シナリオを買ったので、読んで咀嚼しようと思います。
「コルバトントリ」で受けた印象の良い部分だけ増幅させてくれた演劇だった。
本人が出てこなかったところも大きいが。

一緒にいった方は三回目の観劇だったのですが、目を真っ赤にして泣いていた。
12月にまたあるらしいのでもっかい行きたい。

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