2015年7月28日火曜日

「メトロポリス」

VHS鑑賞六本目。
初期のSF超大作。
大学の時後輩にDVDもらったのに、紛失するという失態を犯してから…悲願の鑑賞。
フリッツ・ラング二作目。

90分版なのでかなりカットされているし、音楽は多分後付け(有名な人でもない)されたもので、そうやって聴くとどうなのこれ、って感じものがあった気がする。

ただ、フリッツ映画特有の巨大セットやマリア役の人の演技がすごくてとても楽しめた。
特にマリア役の人の動きがすごい。
共産主義と資本主義の対立らしいけど、過去の名作映画はこの辺りのテーマがすごく多い。

どうでもいいけど、アンドロイドの登場シーン、上に逆五芒星があった。
そしてマリアの登場シーン、四隅が暗くなるなるのではなく、白とびしていたのにびっくりした。
どうやったんだろう…。

そういえばハンブルクの映画館「メトロポリス」にこのポスターが貼ってあって感動した。

2015年7月25日土曜日

「スラム砦の伝説」

VHS五本目。
パラジャーノフ監督初鑑賞。
「ざくろの色」がなかったのでこちらにした。

これは完全にVHSのせいだろう。
思っていたような映像美までには至らなかった。
1カット1カット色彩や構図はえげつないんだけど。
ホドロフスキーの幾何学さとターセムの絶景とヴィスコンティの絢爛さが合体したような感じでしょうか…。
ちゃんと見たらおそらく壮麗なのでしょう。
次はフィルム上映かBlu-Rayが出るのを待つ。

てかこの人もロシアか…。
この人のコラージュの画集があまりにも素晴らしすぎて、海外遠征をしようか迷っている。

そういえば2006年の記録が少しだけ出てきたので反映させた。

「動くな、死ね、甦れ!」

VHS四本目。
念願の初カネフスキー。
このクソみたいにかっこいいタイトルが頭から離れなかった。
「動くな、死ね、甦れ!」

ロシア(旧ソ連)映画なのにストーリーがよくわかる!なにこれ!
霧か、それとも胸を詰まらせるほどの蒸気か…どちらにしろロシア映画特有の映像美はちゃんとあり、でもストーリーが良くわかる!

少年が初めて人の死に関わってしまった時の、日の光が忘れられない。
そして最後は心がえぐられ過ぎて失禁しそうになった。

ただ、収容所の話ということで、祖父のことを思い出してしまい素直に楽しめなかった。
たまに流れる日本の歌もえぐ味がある。

残りの二本も観たい。

2015年7月24日金曜日

「ストーン / クリミアの亡霊」

VHS三本目。
「モレク神」「牡牛座 レーニンの肖像」が置いていなかったので、とりあえず一つ。
ソクーロフ作品は3と1/2本目。

彼の作品はもはや4:3なのか16:9なのか、映像はこれでいいのかVHSが擦り切れているからなのか、どう考えても全てが正解に思えてしまうから怖い。
やはりこういう映画はフィルムで観るべき。

詩的な映像が続きタルコフスキーからの流れを感じるけど、ここから「ファウスト」へどう繋がったのかまだよくわからない。
他の作品も観なくては。

あの鳥がいつ人の眼を突っつくのかドキドキしながら観ていた。
そしてラストの台詞はぞくっとした。
解説を読むと更に。

ただ、正直とてもとてもたるい。

2015年7月23日木曜日

「そして船は行く」

VHS二本目。
大学の時、何かの授業で観てとても印象に残っていた作品。
おそらく初めて観たフェリーニ作品。

その時教授が何の意図で、何を伝えたかったのか今となっては全く覚えていないけど、今観終わって少しこの映画について調べたら、授業で観せたかった理由もある程度理解できたように思う。

映画の冒頭、遠くで映写機の音が聞こえ、モノクロサイレントで着飾った人々がカメラを物珍しく覗いて行く…あれは正しく「工場の出口」なんでしょう。そしてトーキーになりカラーになり、物語は幕をあける…。
そしてラストは「ホーリー・マウンテン」…よりもっと情緒的に、撮影現場が映し出される。

この映画の構造は、まず「映画への愛」があり、その中に「群像」があり、その中に「時代」があった。
「8 1/2」はまず「映画への愛」があり、その中に「個人」があり、その中に「環境」や「周囲の人々」があったように思う。
そうやって観るととても面白い。
「船」という映画に乗り、制作者たちが旅を続ける映画だとすれば、あのディーバは何なのだろう。

皇女役の人、この人がピナ・バウシュだったのか。
「トーク・トゥ・ハー」にも出ていたらしい。
全く覚えていない。

そしてこの映画、83年だったのか。
冒頭の印象が強かったおかげで初期作品というイメージだった。

ドビュッシーの「月光」が、一段と物悲しく聞こえてしまう映画だった。

2015年7月22日水曜日

「ドグラ・マグラ」

今年、記念すべき100本目。

遂に、遂に、遂に観れる日が来ました。
大学の時DVDを買い損ねて激しく後悔してから約十年、毎日のように「なぜあの時買っておかなかったのだ」と自分を責め続け、そんな自責の念をやっと、やっと、やっと拭い去れる時が来ました。
まあ一万五千くらい払えば観れないことはなかったのですが。
レンタル屋にVHSはずっとあったし。

というわけで、ビデオデッキをお借りして、正しく今さっき、見終わったわけでございます。

これがあの難解な推理小説の流れか…。
これが噂の桂枝雀さんか…。
これが松本俊夫監督の映画か…。
冒頭の詩の真相はここへつながり、つまりは…どういうことだ?
などと、様々な思いが駆け巡り、しかし一度では味わいきれるはずもなく、只々この心地よい時間に溺れていたわけでございます。

素晴らしかった!
あの本をここまで万人の理解の範囲に落とし込み、小気味の良いエンタメとして仕上げただけで松本監督の表現というものへの愛が伺える。
それ以降撮ってないみたいだし。
このレベルの日本映画がもっと増えますように。

なににせよ、この長い長い年月の期待に応え、それ以上のものがそこにあったということだけで涙がでそうでございます。
ああ良かった。

2015年7月21日火曜日

「サンセット大通り」

新作のプロットを考えながら鑑賞。

グリフィスやデミルなどの名前も出てき、しかもデミルに至っては本人だったのか!大盤振る舞い!
主演の女優もいろいろとすごいんだけども。
素晴らしい時代。
時代背景を知れば、二倍楽しめる映画。

ラストは鳥肌が止まらない。
同じくラストを表情で魅せてくれる「赤い靴」を見ようと思ったけど、誰かに貸しているらしく見当たらなかった。
むかつく。

てかブログ内検索壊れとるがな。
直します。

「イコライザー」

またモレッツ詐欺か…。
日本版ポスターは堂々とモレッツを持ち込んでて騙された!ほとんど出てこんやん!
モレッツ版「レオン」かと楽しみにしていたのに。

内容はというと「トレーニング・デイ」の監督というのもありとても期待していたのですが、あまり面白くなかった。
デンゼル・ワシントンが無敵すぎて、何が起きてもドキドキしない。
今時スーパーヒーローだって存在意義を求めて四苦八苦するのに。
残念。

2015年7月20日月曜日

「蝋人形の館」

リメイク版、二度目。
オリジナルは未鑑賞。

ビジュアルがとてもいい。
館が溶け出すところの世紀末感も。

2015年7月16日木曜日

「過去のない男」

アキ・カウリスマキ三本目。
高校時代の「レニングラード・カーボーイズ・ゴー・アメリカ」との衝撃の出会いから約10年、いろいろあって手を出していなかった。

イメージしていた印象通りの作風で、普通に楽しめた。
でも特に大学時代に観ておくべきだったとか思わなかったので、当分カウリスマキ(ミカも)はいいかな。

「女のみづうみ」

喜重監督5本目。
前半既視感があったので、途中で止めていたものと思われる。

原作は川端康成の「みづうみ」。
その前書き?に書いてある言葉がかなり補足になっていると感じた。
「湖の多くは遠いむかし地の奥から火を噴きあげた火口に水をたたへてできた。火はしづまる時が来るが、水には時がない」

後半はかなり松竹ヌーベルバーグ感に溢れ、正直残念だった。
ただ、画角構成や、岡田さんへの画面から溢れる愛だけでとても心地よくなれる映画。


2015年7月14日火曜日

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

劇場:TOHOシネマズ新宿

初のTOHO新宿で4Dを観てやろうと思っていたら、「アベンジャーズ」に取られて終わっていた…。
ので3Dで鑑賞。

3D用に作られたじゃないにしても、なかなかの迫力だった。
砂嵐のシーンはやっぱり最高。
3Dの方が良かったくらい。
かなり目は疲れたけど…。

ここ最近の映画鑑賞で思ったことは、前回の映画の丁寧さを一度捨てて、次回は説明を最低限に抑えた言わば事情のみでシーンを跨いでいくシナリオでもいいかなということ。
もうそれしか道は残されてないように思う。
さようならダーレン!

「エンター・ザ・ボイド」

続いてギャスパー・ノエ。
共通点は”輪廻”か。

輪廻転生の過程を魂目線でノエなりに描くこちらも悪趣味映画。

ものすごい発見をした。
幼少時代の回想で、兄から妹に「死んでもお前を助けに来る」と言うセリフがあった。
もしやこの映画は、死んでしまったお兄ちゃんが妹から産まれることで、妹を助けに行く話だったのか!
一度堕胎手術をした妹は、お兄ちゃんの魂が受精したときは堕ろすという選択をとっていないし。
近親相姦を匂わせている部分も納得出来る。
ただ、最後に母親の顔にフォーカスが来ていないので、確信には至らないけど。

そういや途中で放棄していた「チベットの死者の書」を最後まで読まなくては。

「メビウス」

2014年の一位と2010年の一位を続けて観るという暴挙に。

まずはメビウス。
劇場で観たときとほとんど変わらない印象。
人間の馬鹿げた業を、海のように広く深い愛で包んでくれる家族の物語。

最後の最後は笑って欲しくなかった。
でもお母様の卑屈な微笑だけでお腹いっぱいでございます。
日本の70、80年代映画の悪臭が鼻を突く最高の悪趣味ブラックコメディ。















2015年7月11日土曜日

「ストーカー」

タルコフスキー二作目。
心を鬼にして鑑賞。
「惑星ソラリス」「サクリファイス」もずっとあるのに手をつけていないという体たらく。

相変わらず映像が美しい。
で、「ノスタルジア」と違ってホラー要素というか、サスペンス的に物語を引っ張ってくれるので、最後まで気を抜かずに見れた。
非常に体力を消耗したので、素晴らしかったとだけ。

こちらもまた原作はストルガツキー兄弟でした。
ソクーロフ、タルコフスキー、ゲルマン、みんなストルガツキー兄弟やっとるがな。
すごい。

「ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ」

恐らく二回目の鑑賞。
こんな美しい映画が日本未公開だなんて馬鹿げている。
プロデューサーはコッポラとルーカス。
監督は「タクシードライバー」の脚本の人。
俳優も豪華すぎる。

彼の作品は「金閣寺」しか読んだことないけど、それぞれは一貫したテーマがあるのでしょう。
美への追求は、自分の醜さを直視してから始まるのだ!!

「純粋に生きるとは、血しぶきで一行の詩を書くことである」
「美しくなろうという男の意志は、女とは違って、必ず死への意志なのだ」
「正に刀を腹に突き立てた瞬間、日輪は瞼の裏に、赫奕と登った」
など、三島作品からの引用にいちいち痺れ、音楽が吐き気を催すほど美しい。
ラストの盛り上がりも最高。

果たしてこれが三島由紀男の本当の姿かは定かではないけど、この映画の中に存在するミシマは信念を貫いた美しい人だった。
男の自分がこの映画に溺れてしまうのは、いわゆる「男の美学」が詰め込まれているからなのか。
女性の意見が聞きたい。


「ホドロフスキーのDUNE」

観たよ。観ちゃったよ。
ホドロフスキーが人生を賭けて入れ込んだ作品「DUNE」のドキュメンタリー。

メビウス、ギーガー、ダリ、オーソン・ウェルズ、ピンクフロイド、ミックジャガー…と、錚々たるメンバーが集まってくるくだりは最高すぎた。

そしてリンチのくだりも最高に笑った。
最近動いているとこ見た木村大作といい、一人漫才してこその監督だな。
見習わねば。

本当に完成していたらもの凄かったかもしれない。
でも未完成だからこそ神格化できるのかもしれない。
何にせよ、ホドロフスキーの生へのエネルギーは尋常じゃない。
「失敗してもいいんだ!」とカメラ目線で叫ぶ目に、「本当はねぇ!ぼくだって撮りたくないんですよ!」と叫ぶ宮崎吾郎と同じ狂気を見た。
いや、一緒にしちゃだめか。

「アンカル」はそういう経緯で書かれたものだったのか。
読み直そう。
そういやギリアムの未完成映画「ドン・キホーテ」のドキュメンタリーも観なくては。

「ぼんとリンちゃん」

二度目の鑑賞。
小林啓一監督作品。

劇場で見た時と同じく、「ももいろそらを」には遠く及ばなかった印象。
要所要所は面白いんだけど…。

次回作に激しく期待している。

2015年7月4日土曜日

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

劇場:新宿バルト9

迷った挙句、2Dで鑑賞。
「マッドマックス」シリーズは、なぜか1だけ観ている。
有名な2を未見のまま鑑賞。

さいっこうだー!!
ジョーを崇拝するサブキャラが、ジョーに銀スプレーをかけられる時の表情に泣いた。
音楽も相まってこっちまで嬉しくなった。
その後すぐズッコケちゃうんだけど。
キャラクター一人ひとりへの愛があり、人食い男爵が人食ってなかったのだけが悔やまれる。

シャーリーズ・セロンとの別れ方も完璧!
そうだ!そこに言葉はいらんのだ!

どっかの映画のオマージュ…に逃げるのではなく、とてもオリジナリティに溢れ、それを実写でガンガン金かけて完成させちゃったスーパーハイテンションムービーでございました。
このまま今年一位になってしまうのか!
機会があれば4D観る。

因みに、予告編が、「ミッション・インポッシブル」「ジュラシック・ワールド」「007」「ターミネーター」だった。
アクション好きにはとんでもない年やな。