2013年11月29日金曜日

「かぐや姫の物語」

劇場:バルト9

今年のジブリ祭りのラストを飾る作品。
「竹取物語」のあらすじと呼ばれるものはなんとなく覚えていたけど、テーマについては考えたこともなかった。

姫が連れて行かれるラストシーン、あの狂気の大連隊と、それにすがる翁と嫗に泣きながら感謝を伝えるかぐや姫…そしてすべてを伝えきる前に…。
若干陽気で、でも美しい音楽に乗せてのあのシーンは思わず叫びたかった。

個人的にはいかにも日本最古の物語らしく神道的価値観だなぁと思ったのだけれど、どうやらそうでもないらしい。

どうでもいいけど完全に久石譲がいた。

生きることに真面目で、愛に溢れ、小気味良さもあり、ただただ美しい映画だった。
これを現代でやって客が入るとは思えないし、あのコピーや予告が時代や作品に合っているとは思えないけど、「風立ちぬ」と同様、宣伝によって誤解されてしまった不運な傑作だと思う。
そして姫のお付の小さな女の子萌え。
女の道化もまた乙。

あのラストの赤ちゃんだけはいらない!本当に!月だけでよかった!
頼むからブルーレイ版では消してくれ!!!!

今年の一位は数あれど、上映後小さく拍手をしたのはこの映画だけ。
さて、市川崑の「竹取物語」でも借りに行くかな…。

2013年11月21日木曜日

「夢と狂気の王国」

劇場:バルト9

「映画をとっていても苦しいだけですよ」

「風立ちぬ」の宮﨑駿。
「かぐや姫の物語」の高畑勲。
ふたりの間を巡る鈴木敏夫。
三人のオヤジ達の出会いと衝突、そして絆を描いたドキュメンタリー。

キューブリックのBOXについていた特典ディスクで過去のインタビューなどをまとめた映像があったのだけれど、その最後、これまでのキューブリック作品を美しい音楽と共に数カットづつ並べていたシーンを思い出した。
なぜかどの本編よりそのダイジェストが好きで、それを観ているだけでキューブリックという人間を深く知れている気になっていたのだけど、今回のもそれに似た美しいシーンが有った。
灰色の汚い俯瞰の街が数分後再び映った時は、何故か少し愛おしく思える、すばらしいモンタージュ。

でも見終わった後、タイトルがピンと来なかった。

映画としてはもちろんこの映画のほうが遥かに素晴らしかったのだが、ただ、悪態、独り言、自慢…なんでもいい、宮崎駿の一言ひとことが好きな自分にとっては、だらだらと宮崎監督を追い続けた超駄作「ポニョはこうして生まれた」のほうが見ていて楽しかった気がする。

あとどうでもいいけど、一瞬出てきた宮崎吾郎のクワッ!っと開かれた若干病的な目に、ジブリの未来を感じた気がしないでもない。

2013年11月8日金曜日

「キャリー」


劇場:TOHOシネマズ錦糸町

「最も恐ろしく、切ない青春」まさしく!

駄作も駄作。
酷かった。
どうしてもデ・パルマと比べてしまうので。
なんかモレッツちゃんが可愛すぎて、何されてもおまえそんな経験絶対無いだろ!と映画に入り込めない。
せめて前半だけでももっと不細工にしてほしかった。

あとストーリーもよくわかんない。
超能力をちょいちょい使うのはいいけど、周りが気づくラインとかもっとちゃんと見せて欲しかった。
気づいてんのか気づいてないのかよくわかんない。

でも血を浴びて暴走するところは期待通り、最高だった。
血みどろのモレッツちゃんがくねくね動きながらみんな「ぎゃー!!」って逃げ惑う。
その件だけは最高のポップコーンムービー。
もうここがやりたかったがための映画!

あとお母様のジュリアン・ムーアのムカつき度合いはこっちのほうが上かもしれない。
めっちゃイライラした。

暴れるまでデ・パルマ、以後モレッツ、ラストの墓デ・パルマ、と編集してやろうかしら。

でもいいんです。
モレッツちゃんの初潮と血みどろの姿を観れたから。
とても悲しい話。
オリジナル版見直す。

2013年11月6日水曜日

「キャタピラー」

若松孝二監督の映画はあまり見れていないのですが、その中でも一番良かった。
そしてちょうど昨日丸尾漫画の「芋虫」も読んだ。

映画の後に漫画を読んだので、「ユルス」という言葉に戦慄を覚えたのだが、原作はどうなのだろうか。

若松監督のイメージらしく、個人というよりは戦争そのものへのメッセージの映画になっていた気がする。良くも悪くも。

映画なんて所詮戦争になってしまえばプロパガンダくらいにしか使えないのだろうが、それまで戦争を起こさないようにするためには映画が必要だとは思う。