2011年5月23日月曜日

「午後の網目」

マヤ・デレンというシュルレアリストさんらしい。
ちょうど最近シュルレアリズム展に行ってきたのですが、そこに数多く取り上げられていたマグリットさんらと親交があったらしい。
美人です。

この作品がリンチ先生の「インランド・エンパイヤ」に多大なる影響を与えているとかいないとかで見た。
死神?を追いかけていくとどんどんと夢が重なって…後半の水平を無視したカットなんかハリウッドに侵食された自分が今見ても驚くことができた。

午後の気だるい光と白昼夢が織り成す素晴らしい映像だった。
リンチの世界観が好きな人もそうでない人も必見です。

あと映画関係ないけど、シュルレアリズム展へ行った感想。
なんでもやりゃいいってもんじゃない。と思った。

「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」


基本的にファンタジーが一番好きなのですが、なぜかずっと敬遠してた本作。
話題のエミリー・ブラウニングが出ているとのことなので見た。

設定やキャラクターがそそられる導入部で掴みは完璧…と思っていたら、よくわかんないうちに終わった。
ジム・キャリーがそろそろうざく思える年頃なのだろうか。

不幸不幸とナレーションされる割にあまり不幸そうではなかった。
物語上これ以上不幸にしたら駄目なだけかもしれないけど。
でもエミリーちゃんが可愛かったのでまあいい。

2011年5月22日日曜日

「ゲンスブールと女たち」

劇場:バルト9

敬愛する作曲家であり映画監督でもあるセルジュ・ゲンスブールの映画。

あんな人やこんな人が出てくるのですが、予備知識がないとあんまり楽しめないかも。
ダビデの星も帰って調べてやっと意味がわかったし。

ブリジット・バルドー役の人は綺麗だった。
フランス・ギャル役は…。
予告にも出てこなかったのでどんな人だろうとわくわくしてたらがっかりさせられた。
でもフランス人からしたらそんなものなのかもしれない。
あとバーキン役の人、微妙すぎだろ!と思ってたら撮影後に自殺したらしい。
いや、でも微妙には変わりないのか…。
バーキン役、というくくりが無ければ綺麗な人だった。

セルジュの分身は良かった。
漫画家が監督らしく、アニメーションとかも少しあってなかなか飽きさせない演出だった。
でも期待しすぎた分、がっかりもさせられた。

「ジュテーム・モア・ノン・プリュ」はジェーンの前にバルドーと録ったってことを初めて知った。
と思ったらいつも聞いてるやつはバルドー版だった。

2011年5月21日土曜日

「ブラックスワン」

劇場:ワーナーマイカル板橋

劇場二度目の鑑賞。再々考。
鏡は母親なのでしょうか。
爪を切るシーンは脅迫観念の具現化?
まあいいや。

とりあえず、練習スタジオでニナの前にリリィが現れるとき、最初暗くてニナも誰だか分からなくて「誰?」と言うシーンがあるのですが、その時のリリィの顔がニナだった。一瞬。

後半黒鳥に成り行く演出はやっぱり最高。

とりあえず、現実と個人の意識内が混ざり合っていく映画ってなんて面白いんだろう。
シナリオがんばる。

2011年5月20日金曜日

「イングロリアス・バスターズ」

二度目の鑑賞。
一度目より面白く感じた。

でもブラピ率いるバスターズがあんまり強そうじゃない。
わざとなのか。
あと探偵さんかっこよすぎ。

個人的にタランティーノさんの中では下のほう。
緊迫感を出す台詞回しは凄いと思った。

2011年5月17日火曜日

「π」


ダーレン先生のデビュー作。
「ブラックスワン」でテンションあがったので見直した。

実は地味に高校生の時の好きな監督BEST3に入っていて、自分の長編映画の脚本もこれをひたすら見ながら書いていた。
それくらい思い入れの強い作品。
「レクイエム・フォー・ドリーム」にはあまり思い入れはないですが…。
あの有名な曲「SUMMER」に出会えたくらい。

めまぐるしいカット割りで見てて飽きないし、何より数学のまめ知識が面白い。
数学が好きだったのでなおの事。
世界のあらゆることを解明できる216桁の数字を見つけてしまった男の話なのですが、その方向性が株式市場とイスラム教メインに向いてしまうのが少し残念かなと。
まあ予算とか尺と考えると仕方ないんだろうけど。

なんにせよ、ダーレン演出の基盤となっているものがある。
薬の飲み方や、不可解な出来事など…。
素晴らしい映画。

「塔の上のラプンツェル」

劇場:バルト9

もう今週で終わりらしいので、そして本当になぜだかよくわからないのですが手元に前売りがあったので見てきた。

ラプンツェルのコケティッシュな動きやら表情が可愛かった。
最近のディズニー音楽はかなりポップなのね。

面白いなーと見ていたら悪寒が過ぎった。
見る前は2Dのいわゆる絵で書いたアニメーションだと思っていたのですが、3D(CG)だったこと。
シナリオの完成度が高いこと。
ディズニーだということ。
これはもしや…。
と思ってクレジットを見ていたら、やっぱり!
エグゼィクティブ・プロデューサー、ジョン・ラセター…。
3Dメガネがずり落ちました。

ぼくが映画界で信用しないことにしている二大巨頭の内一人です。
もう一人はラース・フォン・トリアー。
ラセターが関わっているいる映画で本当にいいのは「ティンカーベル」シリーズだけです。

でも面白かったです。

2011年5月16日月曜日

「エルム街の悪夢」


マイケル・ベイだったかな、のリメイク版。
だらだらと期待せずに見ていたら、夢のヴィジュアルに感動した。
そういや同じリメイク版の「13日の金曜日」だかも意外と良かった。
ラストのお約束、フレディより女の叫び声にびっくりした。

そういや思ったのは、フレディが全くの無実だったらもっと怖かったのになってこと。

「エンター・ザ・ボイド」

去年の最高傑作。
ラスト全員ので行われる大乱交パーティーは泣ける。

2011年5月15日日曜日

「ブラックスワン」その2

なんかぼーっと考えていたことをまとめて。
今回はネタバレしかありません。

この映画のキーポイントとなる”鏡”。
それが恐怖を煽る演出の基盤ともなっているのですが、それに映る、勝手に動き出す自分自身は何なのか考えていた。
一つ思いついたのは、それは”母から過度の期待を寄せられているニナの、母にとっての理想のニナ”。
それは結局、後半母に反抗しかしていないニナの理想でもある。
どうしておまえは出来ないんだ、と自分自身に言われている感じ。

ラスト、その鏡の破片で自分自身を刺すということは、理想の自分との融合ではないかと思った。
あの完璧な黒鳥の踊りをするための映画的儀式みたいなもの。

それで思い出したのが「ファイトクラブ」。
ラスト、主人公が銃を咥えてぶっ放すシーン。
すると理想の自分であるタイラーも口から煙を吐き、倒れて消えてしまう。
誰かの完全読解で、あのラストは主人公がもう一人の自分・タイラーを殺したのではなく、理想の自分と融合したシーンだ、と言うのを昔読んで納得した覚えがある。
その後の主人公の表情・台詞や、マーラの表情をみるとそれも頷ける。

ただ主人公が自分を傷つけて悩みから解放されるのではなく、一段上の世界へ行く。これが重要なのだと思った。
でも二作品とも、成長した主人公は長くは生きられない。彼のいるビルは爆発し、彼女はダンスと共に力尽きてしまう。

ダーレン先生がこのラストに至ったことは、自分の中でとても興味深くて(原作のこともあるだろうけど)デビュー作「π」では、数学の天才である主人公がラスト、自分の頭に電動ドリルを突き刺し、脳を傷つけることによって悩みから解放される。
そのラストを経て、今回の「ブラックスワン」のラストがあるのだと思う。

自分はまだ、自ら死を選び、悩みから解放されるラストしか描けていないし、これからもやりつもりですが、いつかこのラストに辿り着けるのかしら。
これが言いたかった。

とりあえず、もっかい見てきます。

またもや追記:
ラストの黒鳥のバレエシーン、「BECK」の最後まで聞かされることは無い歌声や、「エンジェルウォーズ」の最後まで見せない踊りなどなど…、この映画を見て勉強しろ!って言いたくなった。

2011年5月14日土曜日

「ブラックスワン」


劇場:バルト9

ダーレン先生の新作。
何から書いてよいのか解りませんが、とりあえず、私の人生ベスト5に入れさせていただきたいと思います。
あと、いつもは書かないのですが、とりあえず「ネタバレあり」と書かせていただきます。

バレエ「白鳥の湖」の主演に抜擢された主人公ニナがどうしても踊れない黒鳥のダンスをいかに克服するか…。というストーリーなのですが、まさしく完璧な映画で、圧倒されまくりでした。
最後、拍手したかった。歓喜の声を上げたかった。
自分が今までやろうとしていた完成形がここにはありました。

自分の三本目の長編は、 「金閣寺」からヒントを得た”最も美しいのは二度と再現することの出来ない一瞬の芸術”をテーマに撮ると決めていたのですが、まさしくそれで、もう撮らなくていいかな、と落ち着きました。

そしてもうひとつの大きなテーマ”母と娘”。
母の幻影にとり憑かれた少女の成長…。
これまた現在書いている脚本のテーマでございます。もうやだ。

あと一つ、声を上げてしまったのが、ニナが電車に乗っていると一瞬出てくる一人で盛っているおじいちゃん。
「π」の人でした!
同じ人が同じキャラクターで同じ場所で出てきた!
感動しました。

映画と言うものに素直に憧れていたときのヒーローたち、ナタリー・ポートマンとダーレン・アロノフスキーによる素晴らしい映画を観れた素晴らしい夜だった。
映画史上最も美しいハッピーエンドは「ファイト・クラブ」と「江國さゆりは不感症」と「ブラックスワン」に決定です。

多分今年一番でしょう。
そうであってほしい。
セルジュ次第です。

追記:
あと音楽が本当に素晴らしい。
盛り上げるところはきっちり盛り上げてくれ、かなり音楽に緊張感を左右された。いい意味で。

2011年5月7日土曜日

「もっとしなやかに もっとしたたかに」

森下愛子二作目。
別れた女房が帰って来て、いきなり「お世話になりました」と出て行くシーンは藤田映画らしくて泣きそうになった。

それにしても最後の最後でやられました。
あのラストは藤田監督作品の中でも三本の指に入るラストじゃないでしょうか。
主人公と警察の天丼が無かったらもっと良かったのに…。
16歳の少女という存在を見事に描ききった素晴らしい演出だった。

一応ロマンポルノなのね。
良かった。

そういえば中島貞夫大先生に「藤田敏八監督が好きです」と言ったら、「ああ、ビンパッちゃんか。仲良かったで」と言われたのですが、 音読みしたらよかったのか。やっと謎が解けた。

「徳川セックス禁止令」


サンドラ・ジュリアンと杉本美樹のピンキーバイオレンス。
禁止令を破って恋人を殺された男が「セックスは愛だ!」と言って切腹する姿に涙した。
そして最後、キリスト教に一石を投じるスケールの大きさに笑った。
良かった。

「崖の上のポニョ」

「ポニョはこうして生まれた」を見たら本編も見たくなって鑑賞。

慣れてきたのか気持ち悪いシーンでも鳥肌は立たなかったが、トンネルのシーンは未だにトリップする。
恐ろしい傑作。
宮さんは未来を子供の純粋な愛に託そうとしているんだな。
泣ける。

2011年5月6日金曜日

「ギャラクシー・クエスト」


上映時以来見なきゃ見なきゃと思いつつ、結局見れていなかった本作、やっと見ました。

シガニー・ウィーバーがこんなにセクシーとは知らなかった。
複線の回収を見習おうと思った。
面白かった。

「十八歳、海へ」

大好きな藤田敏八監督作品。

自殺行為にはまるカップルの青春映画。

ラスト、お気に入りの睡眠薬を飲み、必死に眠気を抑えながら遺書を書き換える森下愛子に恋をした。
でも秋吉久美子シリーズのほうが面白い気がする。

「もっとしなやかに…」のほうが前だったのか。
楽しみ。

2011年5月2日月曜日

「ポニョはこうして生まれた」


「崖の上のポニョ」の完成までを追ったドキュメンタリー、ではなくこれを撮った荒川氏の独白集。
ディスク五枚、一枚三時間(五枚目だけは一時間) という「サタンタンゴ」のタル・ベーラもびっくりな時間で、ガチで人間関係が壊れていく様を淡々と記録した作品。
後半、もう荒川氏がダメなのか宮さんがダメなのかわからなくなるほど凄い。

個人的に「崖の上のポニョ」は”ジブリの中で”と言いたくないくらい愛してやまない作品なのですが、この荒川大先生がいなければもっと凄くなっていたかもしれない。
それだけが悔やまれる。

基本的に会話は、「絵コンテまだ出来ないんすか?」「…」だけで、ついにコンテが終わった瞬間、「ぼくの仕事は終わった」…ってほんとうに何をしにきたんだろうこの人は。
そしてラストの一言はドキュメンタリー史に残る名言だと思う。

「セックス・クラブ」

普段あまり本は読まないのですが、大好きな小説家がいて、その人の「チョーク」を見事に原作レイプしてくれた本作。
こういうタイトルつけたところで別に売れるって訳でもないだろう。
知らないけど。

この小説家のデビュー作が「ファイト・クラブ」なのですが、その映画化「ファイト・クラブ」を完全にパクってます。どいひー。

でもラスト音楽家でもアクセサリーでもない”ビ”がつくものがやっと取れたときのカタルシスは感動した。

そしてラスト、なんとレディオヘッドの”レコナー”が流れて、いや”ホウェア・イズ・マイ・マインド”にはなれないよ。と突っ込みを入れることのできるなんとも憎い映画。

「雨月物語」

溝口監督作品ってあんまり見ていなかった。
下手したら授業などを除けば初めてじゃないだろうか。
 楢山節考は誰だっけ。溝口じゃなかったかな。

で雰囲気も映像もかなり古かったのですが、(調べてみたら53年) なかなか面白かった。
さすが昔の物語だけあって説教臭さはありましたが。

狐に化かされるところが良かった。
一歩下がって神の目線で淡々と描かれる人間への教訓。
現代人に説教されるよりはいいかなと思った。